昨今話題となっている海洋プラスチック問題をご存じですか。
ニュースではたまに聞く程度で、あんまり意識していない方が大半ではないでしょうか。
では、あなたの体の中もプラスチックで汚染されている可能性がある。と知ったらどうでしょうか。
今回は海洋プラスチック問題として、マイクロプラスチック問題と人体への影響について解説していきます。
マイクロプラスチックとは
初めに、マイクロプラスチックとは直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックのことを指し、ビーズなどの⼩さなプラスチック、レジ袋やペットボトルなどが海岸に流れ着き、紫外線や砂、波によって5mm以下まで細かくなったものをいいます。
プラスチックは自然に分解されないため、小さなゴミととして残り続けてしまいます。
ある研究では、 2019 年の海洋表層のマイクロプラスチックの平均個数と質量を推定したところ、地球上に存在するプラスチック粒子は約 82 ~ 358 兆個、重さは 110 ~ 490 万トンと推定されると発表した。
世界中の海を漂うマイクロプラスチックはもちろん無害なわけはなく、魚やウミガメ等、海の生物が誤飲してしまうケースなど深刻な海洋汚染につながっております。
すでに人体からもマイクロプラスチックが検出されている
驚くかもしれませんが、もうすでに人体からもマイクロプラスチックが見つかっているのです。
2022年の研究によると22 人の健康なボランティアを対象に、血中にマイクロプラスチックが含まれているか測定したところ、なんと17人(77%)のボランティアからポリエチレンテレフタレートをはじめとしたプラスチック粒子が見つかったのです。
2023年の研究では15 人の心臓手術患者を対象に、心臓とその周囲の組織にマイクロプラスチックが存在するかどうかを調査しました。
6 つの心膜、6 つの心外膜脂肪組織、11 つの心膜脂肪組織、3 つの心筋、5 つの左心耳、および 7 対の術前および術後の静脈血サンプルを対象に収集したところ、5 種類の組織から 9 種類のマイクロプラスチックが見つかり、最大のものは直径469 μmのものが見つかったとのことです。
また、術前・術後の血液サンプルからもマイクロプラスチックは見つかっており、最大直径184μmの9種類のマイクロプラスチックが検出されているとのことです。
もうすでに人体にもマイクロプラスチックは入り込んでしまっているのです。
マイクロプラスチックの人体への影響
人がマイクロプラスチックを摂取してしまうプロセスとして、マイクロプラスチックに汚染された魚を人が食べることで体内に取り込んでしまうことが報告されております。
では、人がマイクロプラスチックを摂取してしまうことにより、どのような影響があるのでしょうか。
実はマイクロプラスチックが人体に与える影響はいまだはっきりしていないのが現状です。
ですが、マイクロプラスチックにはダイオキシンやDDTなど、残留性有機汚染物質(POPs)と呼ばれる海中の有害化学物質を取り込みやすいという特徴があります。
有害化学物質を吸着したマイクロプラスチックを人間が取り込むことにより、有害な化学物質が体内に蓄積され、免疫力低下や発がんなど、何らかの健康被害を受ける可能性が指摘されております。
脱プラスチックの重要性
1835年に世界で初めてプラスチックが作成され、第二次世界大戦を契機に、プラスチックの需要は爆発的に増えていきました。
世界では年々プラスチックの生産・使用量が増加しており、1975年に5000万トンだった生産量は2015年には4億トンにまで達しています。
このまま増え続ける場合、2040年までに生産量は2倍になるという見方もあり、現にアメリカやEU諸国をはじめ、様々な国々でも規制が始まっております。
2040年までに世界全体のプラスチック汚染を解決するための条約である、「国際プラスチック条約」は、2024年の締結を目指して議論が進められているなど、世界で脱プラスチックの動きがみられております。
少しでもプラスチックの廃棄量を減らすためにも、一人ひとりの意識や行動が今後重要になってくることは間違いないようだ。
refarence:
A growing plastic smog, now estimated to be over 170 trillion plastic particles afloat in the world’s oceans—Urgent solutions required
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0281596
Discovery and quantification of plastic particle pollution in human blood
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412022001258?via=ihub
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